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2025.06.27コラム

住まなくなった家を売却すべき理由|空き家のリスクと税金負担

住まなくなった家を売却すべき理由|空き家のリスクと税金負担

日本の空き家問題は深刻化の一途をたどっており、総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は約849万戸に上り、住宅総数に占める空き家率は13.6%に達しています。親の実家を相続したり、転勤や転居により住まなくなった家をどうすべきか悩む方が多いのが現状です。

花小金井・田無エリアでも、空き家の管理や処分についてご相談いただくケースが増えています。センチュリー21ネクストドアでは、これまでの経験から、今後利用する予定がない空き家は早期の売却検討が重要であることをお伝えしています。空き家を放置することには様々なリスクが伴い、税金や維持費などの負担も継続的に発生するためです。

本記事では、空き家を放置することで生じるリスク、売却時に利用できる税制特例、そして具体的な売却方法について詳しく解説します。

空き家を放置するリスク

維持費用の継続的な負担

空き家を所有し続けることで、様々な維持費用が発生します。年間数十万円の負担となるケースも珍しくありません。

主な維持費用:
- 固定資産税・都市計画税(年間10万円~30万円程度)
- 火災保険料(年間2万円~5万円程度)
- 光熱水費の基本料金(年間3万円~5万円程度)
- 定期的なメンテナンス費(草刈り、庭木の手入れなど年間5万円~15万円)
- 修繕費用(屋根、外壁などの劣化対応)
- 遠方の場合の交通費
- 空き家管理サービス委託費(月額5,000円~10,000円程度)

これらの費用は空き家である限り継続的に発生し、使用していない不動産に対する負担として家計を圧迫します。

「特定空き家」指定のリスク

放置により老朽化が進むと、自治体から「特定空き家」や「管理不全空き家」に指定される可能性があります。指定されると、住宅用地にかかる固定資産税・都市計画税の軽減措置が解除され、税負担が最大6倍になる恐れがあります。

指定される条件:
- 倒壊等の危険性がある状態
- 衛生上有害となるおそれがある状態
- 著しく景観を損なっている状態
- 周辺の生活環境の保全を図るため放置することが不適切な状態

自治体からの助言・指導・勧告・命令の段階を経て、最終的に行政代執行(強制解体)となる可能性もあり、その費用は所有者の負担となります。
特定空き家についての詳細は国土交通省「住宅:空き家対策 特設サイト」をご覧ください。

防犯・安全面のリスク

管理されていない空き家は、不法侵入や放火のターゲットになりやすい傾向があります。また、地震や台風などの自然災害で建物が損傷し、近隣に被害を与えた場合、所有者が損害賠償責任を問われるおそれがあります。

資産価値の低下

時間の経過とともに建物は劣化し、売却価格の低下や売却自体が困難になる可能性があります。特に築年数が古い建物ほど、早期の対応が重要となります。

✓ポイント:空き家の放置は経済的負担だけでなく、法的リスクや安全面での問題も生じます。これらのリスクを回避するためには、早期の売却検討が効果的な解決策となります。

空き家売却時の税金と特例制度

住まなくなった家を売却すべき理由|空き家のリスクと税金負担

譲渡所得税の基本

空き家を売却した際には、譲渡所得税(所得税・住民税・復興特別所得税)が発生する場合があります。

計算式:譲渡所得 = 売却価格 - (取得費 + 譲渡費用)

税率:
- 短期譲渡所得(所有期間5年以下):39.63%
- 長期譲渡所得(所有期間5年超):20.315%

※2037年までは復興特別所得税が加算されます

売却時の主な費用

譲渡費用として計上できるもの:
- 仲介手数料 - 印紙税(売買契約書)
- 登録免許税(所有権移転登記)
- 測量費
- 解体費用(更地にする場合)
- 清掃費用

税負担軽減の特例制度

空き家の3000万円特別控除

相続・遺贈により取得した空き家について、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3000万円控除できる制度です。

主な適用要件:
- 被相続人が一人で居住していた家屋
- 旧耐震基準(昭和56年5月31日以前に建築)
- 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- 売却価格が1億円以下
- 建物を取り壊すか耐震リフォームを実施

令和6年1月1日以降は、買主による除却・耐震改修でも適用可能となりました。

取得費加算の特例

相続税を支払った場合に、譲渡所得計算時の取得費に相続税額の一部を加算できる制度です。特に古い物件で取得費が不明または低額な場合に有効で、3000万円特別控除との併用も可能です。

適用要件:
- 相続開始の翌日から3年10ヶ月以内の譲渡
- 相続税の申告をしていること

その他の特例

マイホームを売ったときの軽減税率の特例:居住用財産を10年超所有していた場合、譲渡所得6000万円以下の部分に約14.21%の低い税率が適用されます。

低未利用土地等の100万円特別控除:都市計画区域内の低未利用土地等を一定価格以下で売却した場合に利用できます。

特例制度

控除額

主な要件

空き家3000万円控除

最大3000万円

旧耐震基準、相続から3年以内

取得費加算の特例

相続税の一部

相続から3年10ヶ月以内

軽減税率の特例

税率軽減

居住用、所有期間10年超

✓ポイント:空き家売却では複数の税制特例を活用できる可能性があります。特に相続した空き家の場合、3000万円控除は大きな節税効果が期待できるため、要件を満たすかどうかの確認が重要です。

空き家の売却方法

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仲介による売却

不動産会社に買主を探してもらう最も一般的な方法です。

メリット:
- 市場価格に近い価格での売却が期待できる
- 広告活動や内覧対応を代行してもらえる
- 専門的なアドバイスを受けられる

デメリット:
- 売却まで平均3~6ヶ月かかる
- 仲介手数料が発生する

買取による売却

不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。

メリット:
- 売却まで最短数日~2週間と早い
- 確実に売却できる
- 状態の悪い物件でも売却可能
- 仲介手数料不要
- 契約不適合責任を免責できる

デメリット:
- 仲介より売却価格が低くなる(市場価格の7~8割程度)

更地にして売却

建物を解体し、土地として売却する方法です。

メリット:
- 買主が建物を建てやすく、早期売却が期待できる
- 土地の価値を明確に示せる

デメリット:
- 解体費用がかかる
(木造:坪単位3~5万円、鉄骨造:坪単位4~7万円、RC造:坪単位6~10万円)
- 住宅用地の特例が適用されなくなり固定資産税が高くなる
- 再建築不可物件の場合は注意が必要

その他の売却方法

リフォーム・リノベーション後の売却:建物の価値を高めてから売却しますが、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

空き家バンクの活用:自治体が運営するマッチングサービスで、費用を抑えられる可能性がありますが、売却まで時間がかかる場合があります。

✓ポイント:売却方法の選択は物件の状態、立地、市場環境などを総合的に判断して決定することが重要です。複数の選択肢を検討し、最も適した方法を選ぶことで、より良い条件での売却が期待できます。

売却成功のポイント

事前準備の重要性

余裕を持ったスケジュール設定:一般的に3ヶ月程度かかりますが、空き家の状態によってはそれ以上かかることも考慮しましょう。

名義確認と相続登記:被相続人名義のままでは売却できないため、必要に応じて相続登記を行います。相続人が複数いる場合は全員の同意が必要です。

物件状況の把握

建物の状態確認:不具合や設備の状況を正確に把握し、買主に告知すべき事項を整理します。再建築可能かどうかの確認も重要です。

必要書類の準備:購入時の売買契約書などを準備し、譲渡所得計算に必要な取得費を証明できるようにします。

税務対応

特例適用の検討:利用できる税制特例があるかを事前に確認し、適用要件を満たすよう準備します。

確定申告の準備:特例を利用する場合は確定申告が必要で、税金が発生しない場合でも申告は必須です。

信頼できるパートナー選び

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不動産会社の選定:複数の会社に査定や相談を依頼し、売却エリアでの実績や空き家売却の経験が豊富な会社を選びます。

専門家との連携:税理士や司法書士など、必要に応じて専門家のサポートを受けることで、スムーズな売却が可能になります。

✓ポイント:空き家売却の成功には事前準備と適切なパートナー選びが重要です。特に税制特例の活用は大きな節税効果をもたらすため、専門家のアドバイスを受けながら計画的に進めることをおすすめします。

まとめ

住まなくなった家を放置することは、継続的な維持費負担、「特定空き家」指定のリスク、防犯・安全面の問題、資産価値の低下など、様々なリスクを伴います。これらのリスクを回避し、経済的負担を軽減するためには、早期の売却検討が効果的な解決策となります。

売却時には譲渡所得税が発生する可能性がありますが、空き家の3000万円特別控除や取得費加算の特例など、税負担を大幅に軽減できる制度があります。これらの特例を活用することで、税金の心配をせずに売却できるケースも多くあります。

売却方法については、仲介、買取、更地化など、物件の状態や立地、市場環境に応じて最適な方法を選択することが重要です。花小金井・田無エリアで空き家でお悩みの方は、センチュリー21ネクストドアまでお気軽にご相談ください。

これまでの豊富な経験を活かし、税理士、司法書士といった専門家と連携して、お客様の状況に応じた最適な売却プランをご提案いたします。空き家の問題は放置せず、早めの行動を心がけることで、より良い解決策を見つけることができます。

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