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2026.07.08コラム
相続した「空き家」を放置する危険性|固定資産税6倍・管理責任のリスクとは

親から実家を相続したものの、「登記や相続の手続きが複雑で手つかずのまま」「遠方に住んでいて、つい足が向かない」――そうして数年が過ぎてしまうご相談は、決して珍しくありません。使う予定のない家を前に、何から始めればいいのか分からず立ち止まってしまうお気持ちは、とてもよく分かります。
しかし、「とりあえずそのまま」で放置し続けると、ある日突然、土地の固定資産税が大きく上がったり、法律上の負担や近隣トラブルに巻き込まれたりする恐れがあります。空き家は、置いておくだけで静かにリスクを積み上げていく資産だからです。
この記事では、空き家の放置によって生じる税金・法律・管理上の具体的なリスクを整理したうえで、売却や共有名義の解消を含めた「今後どうすべきか」の実務的な解決策を解説します。花小金井・田無エリアで不動産売却を専門とするセンチュリー21ネクストドアが、相続した空き家に悩む方の最初の一歩を後押しします。
目次
- 相続した空き家を放置する3つの深刻なリスク 1. 住宅用地特例が外れると、土地の固定資産税が最大6倍相当に 2. 建物の倒壊やトラブルにより損害賠償責任を負う 3. 誰も住んでいなくても維持費がかかり続ける
- 2024年スタートの「相続登記の義務化」で放置はさらに危険に 1. 期限内に登記しないと10万円以下の過料が発生する恐れ 2. 共有名義のまま放置すると権利者が増え、身動きが取れなくなる
- 相続した空き家はどう処理すべき?状況に応じた具体的な解決策 1. 管理の手間を手放し現金化する「売却」 2. リフォームして資産として活用する「賃貸運用」 3. 建物を解体して更地にする「解体」
- 空き家問題から抜け出し、安心を手に入れるための第一歩 1. まずは相続人全員で現状の確認と今後の希望を話し合う 2. 登記・税金・不動産売却に強い専門家へ相談する
相続した空き家を放置する3つの深刻なリスク
相続した空き家の放置は、税金・賠償・維持費という3つの負担を同時に抱え込む選択です。空き家は所有しているだけで費用がかかり続けるうえ、管理を怠れば行政の指導対象になったり、事故の原因になったりするためです。以下では、特に見落とされがちな3つのリスクを順に見ていきます。
住宅用地特例が外れると、土地の固定資産税が最大6倍相当に
管理されない空き家は、土地の固定資産税が最大6倍相当まで上がる可能性があります。住宅が建つ土地に適用されている住宅用地の特例が、一定の手続きを経て外れるためです。
この特例は、居住用の建物が建つ土地の固定資産税を軽減する制度で、200㎡以下の「小規模住宅用地」は課税標準が6分の1、200㎡を超える部分は3分の1に抑えられます。ここで押さえておきたいのは、「所有しているだけ」で税額が上がるわけではない、という点です。市区町村が空き家を特定空家等や管理不全空家等に認定し、次のような段階を経て勧告に至った場合に、はじめて特例が外れます。
| 段階 | 行政の対応 | 固定資産税への影響 |
|---|---|---|
| ①助言・指導 | 改善を求める | 特例は継続(変わらない) |
| ②勧告 | 具体的な措置を勧告 | 住宅用地特例が外れる |
| ③命令・行政代執行 | 命令、強制的な解体 | 解体費用も所有者負担 |
特定空家等は倒壊や衛生上の危険がある空き家、管理不全空家等はそのまま放置すれば特定空家になるおそれのある「予備軍」で、後者は2023年12月の法改正で新設された区分です。勧告を受けても改善しないまま基準日(毎年1月1日)を迎えると、翌年度から特例の対象外になります。
特例が外れると税額がどう変わるのか、土地の固定資産税評価額を1,200万円と仮定して比較します。
| 区分 | 住宅用地特例あり(通常) | 特例が外れた場合(勧告後) |
|---|---|---|
| 課税標準 | 200万円(評価額の1/6) | 1,200万円(軽減なし) |
| 固定資産税(税率1.4%) | 約2.8万円 | 約16.8万円 |
| 負担の変化 | ― | 約6倍 |
※上記は、土地全体が200㎡以下の小規模住宅用地に該当し、固定資産税の土地部分のみを単純計算した例です。実際の税額は、土地の面積・評価額、都市計画税の有無、自治体の課税内容、負担調整措置などによって変わります。都市計画税にも別の軽減率(小規模住宅用地は3分の1、一般住宅用地は3分の2)の特例があり、増え方は税目ごとに異なります。
つまり「6倍」とは、土地部分に効いていた軽減がなくなるという意味であり、家屋分を含めた税額全体が一律に6倍になるわけではありません。とはいえ、負担が大きく跳ね上がるのは確かです。指導の段階で修繕し、認定が解除されれば増額は避けられます。
建物の倒壊やトラブルにより損害賠償責任を負う
空き家の建物が原因で他人に損害を与えた場合、まず建物の占有者が賠償責任を負い、占有者が管理に必要な注意をしていたときは所有者が責任を負う――これが民法717条の定める工作物責任です。空き家では所有者自身が実質的な管理者であることが多いため、所有者が責任を問われる場面は少なくありません。「遠方に住んでいて知らなかった」では済まないおそれがあります。
老朽化した建物は、台風で屋根瓦や外壁が落下したり、塀が倒れたりします。それで通行人がケガをしたり隣家の車を破損させたりすれば、治療費や修理費を求められかねません。なお火災については、失火責任法により、重大な過失がない限り賠償責任が制限される場合があります。ただし、放火や近隣トラブル、保険対応のリスクは残るため、老朽化した建物を放置する危うさは変わりません。
誰も住んでいなくても維持費がかかり続ける
空き家は、誰も住んでいなくても費用が発生し続けます。所有する限り固定資産税と都市計画税は毎年かかり、火災保険料や、遠方であれば見回りの交通費も必要です。
さらに、良好な状態を保つには手間もかかります。換気・通水・清掃を怠れば湿気やシロアリで家は急速に傷み、庭木や雑草を放置すれば隣地への越境につながります。管理代行を頼めば委託費も生じ、使わない家のために収入を生まない支出だけが積み重なっていきます。
✓ポイント:3つのリスクに共通するのは、「時間が経つほど負担が重くなる」という点です。固定資産税が上がるのは勧告を受けた後で、まだ指定前の段階であれば十分に間に合います。修繕・活用・売却のいずれにしても、動き出しが早いほど選べる手段は多く残ります。
出典:空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!|政府広報オンライン
2024年スタートの「相続登記の義務化」で放置はさらに危険に
2024年4月からは、相続した不動産について、期限内に相続登記を申請することが法律上の義務になりました。これまで任意だった手続きが義務化され、期限を過ぎると過料の対象になります。放置に対するペナルティが明確になったことで、「そのまま」のリスクは一段と高まっています。
期限内に登記しないと10万円以下の過料が発生する恐れ
相続人は、不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由なくこれを怠ると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
注意が必要なのは、2024年4月1日より前に発生した過去の相続も対象になる点です。何十年も親名義のままだった不動産も例外ではなく、この場合は2027年3月31日までに登記を済ませる必要があります。遺産分割がまとまらないときは、「相続人申告登記」という簡易な手続きで、いったん義務を果たしたとみなされる制度も設けられています。
共有名義のまま放置すると権利者が増え、身動きが取れなくなる
相続した不動産を、複数の相続人による共有名義のまま放置するのも危険です。共有名義の不動産は、売却や大規模なリフォームに共有者全員の同意が必要になるため、一人でも反対すれば手続きが進みません。
さらに厄介なのが、放置している間に共有者が亡くなり、その相続人へと権利が枝分かれしていく「数次相続」です。当初は兄弟2人だった共有者が、代替わりを経て甥・姪・その配偶者まで含む十数人に膨れ上がる、というケースも起こります。関係者が増えるほど話し合いは難しくなり、いざ売ろうとしても全員の合意を得られず、資産が塩漬けになってしまいます。
✓ポイント:相続登記は、売却や活用のすべての前提となる最初の関門です。共有名義になっている場合は、権利者が増えて収拾がつかなくなる前に整理を進めることが肝心です。手続きが複雑で不安なときは、司法書士などの専門家に早めに相談し、名義の状態と期限を確認しておくと安心につながります。
相続した空き家はどう処理すべき?状況に応じた具体的な解決策
空き家の処理方法は、大きく「売却」「賃貸運用」「解体」の3つに分けられます。それぞれ費用・手間・向き不向きが異なるため、家の状態や今後の予定に合わせて選ぶのが賢明です。まずは全体像を表で整理します。
| 選択肢 | 主なメリット | 主な注意点 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 売却 | 税・管理の負担から解放/まとまった現金を得られる | 一度手放すと元に戻せない | 使う予定がなく、負担を早く手放したい |
| 賃貸運用 | 家賃収入を生む/居住実態で特例を維持しやすい | リフォーム費・入居者対応の負担 | 立地が良く、賃貸需要が見込める |
| 解体(更地化) | 倒壊・防犯リスクを解消/売却しやすくなる場合も | 住宅用地特例が外れ土地の税が上がる | 老朽化が激しく、活用が難しい |
管理の手間を手放し現金化する「売却」
もっとも確実にリスクを断ち切れるのが売却です。手放してしまえば、固定資産税や管理責任、賠償リスクからまとめて解放されるうえ、まとまった現金も手に入ります。
相続した空き家を売る場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例(空き家の3,000万円特別控除)を使える可能性があります。ただし、この特例はすべての空き家に使えるわけではありません。昭和56年5月31日以前に建てられた家屋であること、区分所有建物でないこと、相続から売却まで貸付け・居住・事業に使っていないこと、売却代金が1億円以下であることなどの要件があり、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があります。加えて、令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合、控除額は最大2,000万円に下がります。適用できるかどうかは、税理士や税務署への確認が欠かせません。
リフォームして資産として活用する「賃貸運用」
立地が良く賃貸需要が見込めるなら、リフォームして貸し出す選択肢もあります。家賃という継続的な収入を得られるうえ、人が住むことで建物の傷みも抑えられます。
ただし、注意したいのが税制への影響です。相続した空き家を一度賃貸に出すと、将来売却する際に、先ほどの3,000万円特別控除が使えなくなる可能性があります。この特例は、相続から売却まで貸付け・居住・事業に使っていないことを要件とするためです。売却と賃貸で迷う場合は、目先の家賃収入だけでなく、税制上の損得も含めて比べることが大切です。
建物を解体して更地にする「解体」
老朽化が激しく活用が難しい場合は、解体して更地にする方法もあります。倒壊や防犯の不安がなくなり、土地として売却しやすくなることもあります。一方で、更地にすると住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が上がる点には注意が必要です。
解体費用は、小規模な木造住宅で100万〜200万円台に収まるケースもありますが、建物の広さや構造、残置物の量、アスベストの有無、前面道路の状況によって大きく変わります。見積もりは複数社から取り、自治体の補助制度の有無もあわせて確認しておくと、負担を抑えられます。
✓ポイント:3つの解決策に唯一の正解はなく、家の立地・状態・相続人の意向によって最適な選び方は変わります。「決められない」と迷う時間そのものが税や管理のコストを生むため、まずは現状を把握し、選択肢を比較するところから始めるのが得策です。
出典:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
空き家問題から抜け出し、安心を手に入れるための第一歩
空き家の悩みから抜け出すために大切なのは、完璧な計画よりも「まず動き出すこと」です。放置している時間が最もリスクを大きくする以上、小さな一歩でも早く踏み出すことが、結果的に負担を軽くします。ここでは、今日から始められる2つのステップを紹介します。
まずは相続人全員で現状の確認と今後の希望を話し合う
最初にすべきは、相続人全員での話し合いです。誰がどの財産を引き継ぐのか、空き家を売るのか残すのか、意向がばらばらのまま時間が過ぎると、後の手続きがこじれてしまいます。物件の名義や固定資産税の課税状況、建物の傷み具合といった現状を共有し、方針の大枠をそろえておくことが、その後の判断をスムーズにします。共有名義の場合は特に、早い段階で全員の考えを確認しておくことが重要です。
登記・税金・不動産売却に強い専門家へ相談する
現状が整理できたら、専門家の力を借りるのが近道です。相続登記は司法書士、相続税や譲渡所得の特例は税理士と、それぞれの分野の専門家に相談することで、手続きの抜け漏れや損を防げます。そして売却では、地域の相場や需要を熟知した不動産会社を選ぶことが、有利な条件で手放すための鍵になります。なお、税務相談や登記申請の代理はそれぞれ税理士・司法書士の業務であり、不動産会社が直接引き受けられるものではないため、専門家との連携が前提になります。
花小金井・田無で相続した空き家の扱いにお悩みなら、地域に精通したセンチュリー21ネクストドアにご相談ください。相続に伴う登記や税金については、司法書士・税理士などの専門家と連携しながら、共有名義の整理や売却の進め方、スケジュールの整理をサポートします。相続空き家は、放置すれば負担が重くなる一方、早めに動けば有利な条件で手放せる資産でもあります。まずは現状の確認から、一緒に最適な選択を見つけていきましょう。