2025.06.30コラム
相続した不動産の管理が負担に…売却を検討するタイミングとは?
相続によって不動産を受け継いだものの、管理や維持の負担に悩まれている方は少なくありません。特に花小金井や田無エリアでも、空き家となった実家や使用予定のない土地を相続し、「どうすれば良いかわからない」という声をよく耳にします。
センチュリー21ネクストドアでは、これまで多くの相続不動産の売却をお手伝いしてきた経験から、適切なタイミングでの売却検討が重要であることを実感しています。2024年から相続登記が義務化されるなど、法改正により相続不動産を放置するリスクはさらに高まっています。
本記事では、相続不動産が負担となりやすい理由から、売却を検討すべき最適なタイミング、そして実際の売却手続きまでを詳しく解説します。相続不動産でお悩みの方の参考になれば幸いです。
相続不動産が負担になる理由
法改正による新たなリスク
2024年4月1日から相続登記が義務化されたことにより、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしないと10万円以下の過料が科されるようになりました。これまでは放置していても特に問題がありませんでしたが、現在は「期限内対応が当たり前」の時代となっています。
相続登記の義務違反は過料だけでなく、金融機関からの担保評価減や融資遅延といった二次的な損失にもつながる可能性があります。オンラインシステムの導入により手続きは簡易化されていますが、放置することのリスクは格段に高まったといえるでしょう。
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継続的な維持費負担
不動産を所有している限り、固定資産税や都市計画税といった税金が毎年発生します。特に空き家や使用していない土地の場合、年間数万円から数十万円の税金や維持費が積み重なっていきます。
さらに、老朽化や周辺インフラの劣化、人口減少の影響により、不動産の資産価値が5年で20~30%下落するケースも珍しくありません。
複数相続人による管理の複雑化
複数の相続人で不動産を相続した場合、遺産分割協議が長期化するリスクがあります。不動産は物理的に均等に分けることが困難なため、相続人の間で意見がまとまらず、家庭裁判所の調停や審判に発展すると、解決まで平均1~2年かかることもあります。
共有名義とした場合、売却や3年を超える賃貸契約には共有者全員の同意が必要となるため、将来的な管理や処分がさらに困難になります。
近隣トラブルと管理責任
管理が不十分な空き家は、近隣住民とのトラブルの原因となることがあります。雑草の繁茂、建物の倒壊リスク、害虫問題などが挙げられます。自然災害が発生した場合には、所有する土地に起因する損害について管理責任を問われる可能性もあります。
相続税納税資金の確保
相続税は原則として現金での一括納付が求められるため、手元に十分な現金がない場合は、相続した不動産を売却して納税資金に充てるという選択肢が一般的です。この場合、売却のタイミングが重要となってきます。
✓ポイント:相続不動産の負担は法改正により一層高まっており、維持費、管理責任、複雑な権利関係など多岐にわたる問題が発生します。これらの負担を軽減するためには、早期の対応検討が重要です。
売却のベストタイミング
税制上の優遇措置を活用できる期間
相続不動産の売却で最も重要なのが、税制上の特例措置を活用できる期間内での売却です。主要な制度として以下の2つがあります。
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は、相続や遺贈により取得した土地や建物を、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡した場合に適用されます。支払った相続税のうち一定額を取得費に加算でき、譲渡所得税の負担を軽減できます。
「空き家の譲渡所得3000万円控除(空き家特例)」は、相続した被相続人居住用家屋とその敷地を一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最高3000万円を控除できる特例です。この特例も相続開始から3年以内の売却が条件となっています。
特例制度 | 適用期限 | 主な効果 |
---|---|---|
取得費加算の特例 | 相続開始から3年10ヶ月以内 | 相続税の一部を取得費に加算 |
空き家3000万円控除 | 相続開始から3年以内 | 譲渡所得から最高3000万円控除 |
これらの税制優遇措置を活用するためには、相続開始後比較的早い段階での売却検討がポイントとなります。
市場環境を踏まえた売却の目安
日本は現在「大相続時代」に突入しており、今後相続による不動産売却が急増し、市場に土地が大量に出回ることが予想されています。特に需要の少ない地方や郊外の土地は買い手がつきにくく、価格の下落や売却までの長期化が懸念されます。
※参考:令和6年地価公示 ― 結果概要・変動率/平均価格の時系列推移表 - 国土交通省
売却を検討するなら早めの対応が重要になります。花小金井や田無エリアは比較的需要が安定していますが、それでも早期の売却検討が有利といえるでしょう。
物件状況による判断
築年数が古いアパートの場合、築20年前後以上になると大規模修繕工事が迫っている可能性があり、多額の支出が見込まれます。毎月の収支がマイナスになっているアパートも、収益改善の見込みがない限り売却が得策といえます。
家族状況による判断
相続人の間で不動産の分割方法について意見が分かれる場合は、売却して現金化し、その現金を分割するのがおすすめです。共有名義にすることのデメリットを回避できます。
相続税の納税資金が不足している場合や、相続人に教育費や住宅購入、老後資金など早期に現金が必要なニーズがある場合も、売却を判断する理由となります。
✓ポイント:売却のベストタイミングは税制優遇措置の適用期限である相続開始から3年以内が基本となります。市場環境や物件の状況、家族のニーズを総合的に判断し、早期の対応を心がけることが重要です。
売却の流れと注意点
基本的な流れ
- 遺産分割協議と相続登記
まず、相続人全員で遺産分割協議を行い、不動産の帰属を決定します。合意内容に基づき相続登記を行う必要があります。相続登記は売却の前提条件であり、義務化により早期の対応が必要です。法定相続情報一覧図や戸籍一式の準備が必要となります。 - 不動産会社への依頼と売却活動
信頼できる不動産会社を選定し、媒介契約を締結します。相続専門業者など、相続不動産に特化した業者に依頼することが効果的です。登記簿謄本、固定資産税通知書、測量図などが必要書類となる場合があります。 - 売買契約締結から譲渡完了
買主との交渉が成立したら売買契約を締結し、決済日に残代金を受け取り、同時に物件を引き渡します。その後、司法書士による所有権移転登記が行われ、譲渡が完了します。通常、決済までには2~6週間程度かかります。
重要な注意点
相続登記の完了が前提
相続登記が完了していないと、不動産を売却することができません。義務化されたことで、手続きを怠ると過料が科されるリスクもあります。売却を検討する場合は、まず相続登記の完了を最優先に進めましょう。
共有名義の問題
共有名義の不動産を売却する場合、共有者全員の同意が必要となるため、意見の相違があると売却が困難になるリスクがあります。売却を円滑に進めるためには、遺産分割協議によって単独名義とするなど、事前に名義を整理することが推奨されます。
測量や境界確定
土地の売却においては、測量や境界確定が必要となる場合があります。筆界が未確定の場合、価格が10~15%減額される要因となることもあるため、確定測量を行うことで価格アップにつながる可能性があります。
※参考:不動産情報ライブラリ(公示地価・取引価格検索ポータル) - 国土交通省
契約不適合責任への対応
売買契約においては、契約不適合責任について注意が必要です。相続による売却では、付帯調査を充実させ、責任免除の特約を入れることで手取り額を確保することにつながります。
✓ポイント:売却を成功させるためには、相続登記の完了、共有名義の整理、境界確定、契約不適合責任への対応など、複数の専門的な手続きが必要です。経験豊富な不動産会社と連携し、計画的に進めることが重要です。
売却以外の選択肢
賃貸活用
売却以外の選択肢として、賃貸に出すことで継続的な収益を得る方法があります。ただし、リフォーム費用や空室率、管理の手間など、考慮すべき点は多くあります。
国庫帰属制度
2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈により取得した土地を国に引き取ってもらう制度です。ただし、審査手数料や負担金がかかり、建物付きの土地は対象外となるなど、適用には一定の条件があります。
相続放棄
被相続人の財産全体を見て、預貯金などのプラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が明らかに多い場合、相続放棄が有効な手段となります。原則として相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。
2023年4月施行の民法改正により、相続放棄をした場合の管理責任について「現に占有している」者に限定されることが明確化されました。これにより、親と離れて暮らしていた子どもが実家を相続放棄しても、管理責任を問われる心配はなくなったといえます。
✓ポイント:売却以外にも賃貸活用、国庫帰属制度、相続放棄など複数の選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、個別の状況に応じて最適な選択肢を検討することが重要です。
関連リンク:相続した不動産・空き家・空き地の活用方法
専門家への相談の重要性
早期行動の重要性
相続不動産は、法改正や市場環境の変化により、「放置リスク>利得」の構図が加速しています。時間が経つほど固定資産税や管理の手間が増えるだけでなく、市況や法改正の影響で資産価値が下がるリスクも高まります。
税制上の特例も期限付きのものが多く、知らないまま権利を失ってしまうケースも少なくありません。最も重要なのは「とりあえず放置」を避け、早めに行動することです。
専門家によるサポート
相続不動産の売却や活用、保有といった判断には、税務や法律、不動産に関する専門的な知識が必要です。弁護士、税理士、司法書士、不動産業者など多くの専門家が関わる相続手続きを、窓口一つでワンストップ対応してくれる専門家や団体に依頼することで、相続人の負担が軽減され、手続きをスムーズに進めることができます。
第一歩として
まずは不動産の現在価値を把握し、所有している相続不動産の売却、共有分割、活用の選択肢について、専門的な視点から検討することをおすすめします。そうすることで、家族円満かつ手取り最大化を実現するための最適な「出口戦略」を見つけることができるでしょう。
センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアの相続不動産について、これまでの豊富な経験を活かした適切なアドバイスを提供しています。相続不動産でお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
✓ポイント:相続不動産の問題は複雑で専門知識が必要なため、早期に専門家に相談することが成功の鍵となります。無料査定から始めて、最適な出口戦略を見つけることが重要です。
まとめ
相続した不動産は、相続登記の義務化、維持費負担、資産価値下落リスク、遺産分割の困難さ、トラブルの可能性など、様々な要因から所有者の負担となりやすい財産です。これらの負担を軽減し、後悔しないためには、売却を含めた対応を早期に検討することが重要です。
売却を検討する最適なタイミングとしては、相続開始から3年以内の税制優遇を活用できる期間が基本となります。また、不動産市況や物件の状態、家族の資金ニーズなども総合的に判断材料となります。
売却を進める際は、遺産分割協議、相続登記、不動産会社選び、測量や境界確定、契約不適合責任など、専門的な知識や手続きが必要です。売却以外にも賃貸活用や相続放棄といった選択肢もありますが、それぞれに要件や費用負担があります。
花小金井・田無エリアで相続不動産にお悩みの方は、センチュリー21ネクストドアまでお気軽にご相談ください。これまでの豊富な経験を活かし、税理士、弁護士、司法書士といった専門家と連携して、個別の状況に応じた最適な解決策をご提案いたします。
相続不動産に関する問題は複雑ですが、適切なタイミングで専門家のサポートを受けることで、円満な相続と資産の有効活用を実現することができます。問題を放置せず、早めの行動を心がけることが、後悔しない相続不動産活用の第一歩となります。