2025.05.29コラム
相続で受け継いだ家や土地、売却と活用どちらが正解?
相続で実家や土地などの不動産を受け継ぐことは珍しくありません。しかし、すでに自分の家がある場合や遠方に不動産がある場合など、すぐに利用できない「空き家」となってしまうケースも少なくありません。花小金井や田無エリアでも、相続した不動産をどうすべきか悩む方からのご相談が増えています。
空き家は適切な管理が行われないと、地域社会に悪影響を及ぼす社会問題となっています。さらに2024年4月からは相続登記が義務化され、相続した不動産の名義変更が必須となりました。これにより所有者不明の不動産を減らし、適切な管理や利活用を促進することが狙いです。
センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアを中心に、相続不動産の売却や活用についてのご相談を多数承っています。この記事では、「売却」と「活用」それぞれのメリット・デメリット、判断のポイントなどを詳しく解説します。
相続不動産をめぐる現状と相続登記義務化
日本全国で所有者不明の空き家が増加し、周辺環境の悪化や公共事業の妨げとなる問題が発生しています。実は空き家や空き地が発生する原因の約3分の2は、相続登記が完了していないことだと言われています。
この状況を解消するため、2024年4月1日から不動産の相続登記が義務化されました。この制度変更について、重要なポイントをいくつか確認しておきましょう。(引用:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」令和7年3月27日)
- 相続(遺贈を含む)により不動産の所有権を取得した相続人は、相続を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。
- 遺産分割協議が成立した場合も、遺産分割成立日から3年以内に申請が必要です。
- 2024年4月以前に相続した不動産も対象となり、2027年3月31日までに申請が必要です。
- 正当な理由なく期限内に相続登記をしない場合、最大10万円の過料の対象となる可能性があります。
相続登記は、不動産をどうするか(売却か活用か)を決める前提となる重要な手続きです。名義変更をしないまま放置すると、将来的に売却や活用の際に大きな障害となる可能性があります。
当社でも花小金井・田無エリアで、長年相続登記がされていなかった物件の売却に苦労するケースが増えています。相続人が多数になってしまったり、権利関係が複雑化したりすると、解決に多くの時間と費用がかかってしまいます。
相続不動産を「売却」する
相続した不動産を第三者に売却して現金化する方法について見ていきましょう。
メリット
- 現金化による資金調達
相続税の納税資金や他の負債返済に充てられます。相続税は原則現金一括納付のため、現金化は有効な対策となります。花小金井・田無エリアの不動産価値は比較的安定しており、売却による資金化が計画しやすい地域と言えます。 - 遺産分割の簡素化・円滑化
特に相続人が複数いる場合、不動産を共有するとトラブルになりやすいため、売却して現金で公平に分割する方が円滑に進むことが多いです。実際に当社では、共有不動産のトラブルから売却を選択されるケースが増えています。 - 管理負担からの解放
遠方の物件や老朽化した物件の場合、管理の手間や費用から解放されます。定期的な見回りや修繕、清掃などの負担がなくなるため、特に遠方にお住まいの方にとっては大きなメリットです。
デメリット
- 不動産が持つ相続税の節税メリットがなくなる
現金は額面通りの評価となるため、相続前に売却すると相続税が高額になる可能性があります。不動産の場合、評価額の軽減などのメリットがあることも多いです。 - 市場価値の上昇分を享受できなくなる
特に将来発展が見込まれるエリアでは長期保有で価値が高まる可能性もあります。花小金井・田無エリアは交通の便が良く、今後も安定した需要が見込まれるため、長期的な価値上昇の可能性も考慮すべきでしょう。 - 売却タイミングによる価格変動リスク
希望価格で売却できない可能性があります。不動産市場の状況によっては、想定より低い価格での売却を余儀なくされることもあります。 - 愛着のある不動産を手放すことへの抵抗感
長年家族が暮らした実家などは、思い出や愛着があり、手放すことに心理的な抵抗を感じる方も多いです。
売却が向いているケース
- 相続税や他の税金、負債の支払いに現金が必要な場合
- 遠方にある物件で管理が難しい場合
- 老朽化が進んでおり、大規模な修繕費用がかかる場合
- 相続人が複数おり、遺産分割協議が難航しそうな場合や意見が分かれている場合
- すぐに現金化したい場合
- 資産価値が低い物件
売却を検討する際のポイントは、「今後の利用予定の有無」と「管理の負担度」です。特に花小金井・田無エリア以外にお住まいの方で、今後も戻る予定がない場合は、売却を検討する価値があるでしょう。
相続不動産を「活用」する
相続した不動産を賃貸に出す(アパート、一戸建て、駐車場など)、自身で利用する、建て替えるなどの方法について見ていきましょう。
メリット
- 継続的な収益が得られる
賃貸に出すことで家賃収入など継続的な収入が得られます。特に花小金井・田無エリアは西武新宿線沿線で東京都心へのアクセスも良いため、賃貸需要が安定しています。当社の経験では、適切なリフォームを行うことで、比較的良好な条件での賃貸が可能なケースが多いです。 - 地価の変動を気にせず保有できる
将来的な地価上昇の可能性を残せます。特に駅周辺の物件は、長期的に見れば価値が上昇する可能性があります。 - 相続税の節税効果を得られる可能性がある
賃貸に出すなど事業用として活用している場合、「小規模宅地等の特例」などの適用により相続税評価額を減額できるケースがあります。現金より不動産の方が相続税評価額が低い傾向があります。ローンがある場合は債務控除も適用されます。 - 用途のない土地を有効活用できる
更地や使用頻度の低い土地を駐車場や賃貸住宅として活用することで、遊休資産を収益資産に変えられます。 - 物件価値の維持・向上につながる
適切に管理・活用することで、不動産の価値を維持または向上させることができます。
デメリット
- 管理の手間やコストがかかる
入居者募集、契約、トラブル対応、修繕などが必要です。管理会社に委託する場合も費用が発生します。 - 初期投資や維持費用の負担
リフォーム、設備の更新、経年劣化による修繕費用などの負担があります。特に築年数が経過している物件は、設備更新などのコストが高くなる傾向があります。 - 空室リスク
収入が途絶えるリスクがありますが、固定資産税などの費用は継続して発生します。立地や物件の状態によっては、入居者が見つかりにくい場合もあります。 - 時間と労力、継続的な資金投入が必要
長期的な視点での管理と投資が求められます。 - 相続人が複数いる場合、活用方針について意見が分かれる可能性がある
遺産分割が複雑になる場合があります。特に複数の相続人で共有する形になると、修繕や大規模改修の際に全員の同意を得る必要があり、意思決定が難しくなることがあります。
活用が向いているケース
- 好立地の物件で安定した賃貸需要が見込める場合
- 定年退職後の収入源として活用したい場合
- 現時点で現金化の必要性が低い場合
- 相続人が一人だけの場合
- 資産価値が高い物件
- 土地を有効活用したい場合(アパート経営など)
活用を検討する際のポイントは、「物件の立地条件」と「長期的な収益性」です。花小金井・田無エリアは住環境が良く、駅周辺の物件であれば賃貸需要も見込めるため、活用の選択肢も広がります。相続した不動産・空き家・空き地の活用方法についてはこちらのページでも解説しています。
売却か活用か?判断する際のチェックポイント
相続した不動産を売却するか活用するかを判断する際に、確認すべきポイントを紹介します。
1. 不動産の特性を把握する
- 立地条件:駅からの距離、周辺環境、生活利便施設へのアクセス
- 物件の状態:築年数、メンテナンス状況、老朽化度
- 現在の利用状況:空き家、賃貸中など
- 市場価値:現在の売却価格の目安や賃貸需要の見込み
花小金井・田無エリアでも、駅からの距離や建物の状態によって価値や活用の可能性は大きく異なります。まずは不動産会社による無料査定などで、客観的な市場価値を把握しましょう。
2. 相続人自身の状況を整理する
- 相続人の人数:単独相続か複数人での相続か
- 相続人それぞれの年齢や管理能力:高齢の場合、長期的な管理が難しい場合も
- 資金ニーズ:相続税納税、生活費、借金返済などの必要性
- 相続人同士の関係性や活用方針に関する意見:意見が分かれる場合は売却が円滑な場合も
特に複数の相続人がいる場合は、全員の意向を確認し、合意形成を図ることが重要です。当社の経験では、早い段階で話し合いの場を設けることで、後々のトラブルを回避できるケースが多いです。
3. 税金への影響を比較検討する
- 相続税、譲渡所得税、住民税、登録免許税、印紙税など:様々な税金の影響を総合的に考慮
- 売却のタイミング(相続前 vs 相続後)による税負担の違い:現金より不動産の方が相続税評価額が低い傾向がある
- 譲渡所得税を軽減できる特例・特別控除の適用可否:
- 相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例
- 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除(要件あり)
- 10年超所有軽減税率の特例(要件あり、相続人の売却には適用されない場合も)
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売却した場合の3,000万円特別控除(要件あり)
特に相続税と譲渡所得税のバランスは重要です。相続後に売却するか、相続前に売却するかで税負担が大きく変わることがあります。税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
4. 将来のライフプランを考慮する
- 今後5年、10年、20年といったスパンでの資金需要や生活の変化
- 退職後の収入計画との整合性
- 将来的な住み替えや移住の可能性
将来のライフプランと照らし合わせて、相続不動産の位置づけを考えることが大切です。例えば、子どもの教育資金が必要なタイミングでは売却、退職後の収入源としては賃貸活用など、ライフステージに合わせた選択が可能です。
5. 空き家として放置するリスクを認識する
- 建物の老朽化(朽廃リスク):放置すると急速に劣化が進むことも
- 経済的損失:固定資産税、管理費の継続的な支出
- 「特定空家等」に指定されるリスク:固定資産税の優遇がなくなる、行政指導・命令・罰則の対象となる可能性
空き家をそのまま放置することは、思わぬリスクや損失につながります。花小金井・田無エリアでも、管理されていない空き家が近隣トラブルの原因になるケースが増えています。売却するにしても活用するにしても、放置は避けるべき選択肢です。
判断に迷った場合は、まずは専門家に相談することをお勧めします。センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアの不動産に精通したスタッフが無料相談を承っています。
空き家特有の対策と専門家の活用
相続した空き家への対応方法と、専門家の活用について見ていきましょう。
空き家対策の方法
- 賃貸経営(活用)
物件の状態が良好であれば、賃貸に出すことで収益を得られます。花小金井・田無エリアは住環境が良く、適切にリフォームすれば賃貸需要も見込めます。 - 売却(建物ごと、解体して更地など)
管理が難しい場合や資金化したい場合は、売却を検討します。建物の状態によっては、解体して更地にした方が売却しやすい場合もあります。 - 空き家バンクの活用
自治体が運営する空き家バンクに登録することで、買い手や借り手を見つけやすくなる場合があります。田無がある西東京市でも空き家バンク制度を実施しています。 - リバースモーゲージ(相続前の対策)
高齢の親が所有している場合、リバースモーゲージを活用して現金を調達しながら住み続けることも選択肢の一つです。 - 賃貸併用住宅への建て替え(相続前の対策)
土地の広さや立地条件によっては、賃貸併用住宅に建て替えることで、住みながら収益を得ることも可能です。 - 自治体による補助金・助成金の活用
空き家の解体や改修、仲介手数料などに対する補助金制度がある自治体もあります。ただし、対象となる物件や要件、予算に限りがある点に注意が必要です。
専門家への相談の重要性
不動産相続は手続きが複雑で、幅広い専門知識が必要です。トラブルを避け、最適な判断をするためにも、専門家への相談をお勧めします。
関わる専門家とその役割
専門家 | 主な役割 |
---|---|
司法書士 | 不動産の相続登記、相続人・財産調査、遺産分割協議書作成支援、預貯金・証券名義変更など。相続登記義務化でより重要性が増しています。長期間名義変更されていない不動産の手続きにも対応します。 |
税理士 | 相続税の計算・申告、不動産の適正な評価に基づく相続税対策、節税に関するアドバイス、納税資金対策(延納・物納、売却、借入など)。譲渡所得税の計算や特例の適用についても詳しい知識を持っています。 |
弁護士 | 遺産分割協議での意見対立、遺留分侵害、不動産の権利関係(抵当権、借地権など)に関するトラブル解決、相続人との連絡困難なケースなど、紛争性のある案件に対応します。 |
不動産会社 | 物件の市場価値査定、賃貸需要調査、売却活動のサポート、活用方法の提案などを行います。地域の不動産市場に精通している不動産会社を選ぶことが重要です。 |
複数の専門家が必要な場合も多く、連携している事務所に依頼すると手続きがスムーズに進むことが多いです。センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアの相続不動産に関して、税理士や司法書士などの専門家と連携し、総合的なサポートを提供しています。
無料相談を提供している専門家も多いので、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。早めに専門家に相談することで、選択肢が広がり、より良い判断ができるようになります。
まとめ
相続した家や土地を売却するか活用するかは、不動産の状況、相続人の事情、税金の影響、ライフプランなど、様々な要素を総合的に考慮して判断する必要があります。どちらか一方が常に正解というわけではなく、それぞれの状況に応じた最適な選択が存在します。
特に2024年4月からの相続登記義務化により、相続した不動産について何らかの対応は必須となりました。空き家として放置することは、経済的損失や行政処分のリスクを高めるだけでなく、地域社会にも悪影響を及ぼす可能性があります。
花小金井・田無エリアは住環境が良く、東京都心へのアクセスも良好なため、適切に活用すれば安定した収益を得られる可能性があります。一方で、管理が難しい場合や現金化のニーズがある場合は、売却も有効な選択肢となります。
判断に迷う場合や、手続きに不安がある場合は、早めにセンチュリー21ネクストドアをはじめとする地域の不動産会社や、相続や不動産に強い税理士、司法書士、弁護士などの専門家に相談することが、後悔しないための鍵となります。
私たちセンチュリー21ネクストドアは、花小金井・田無のエリアに特化し、相続不動産の売却・活用についてお客様一人ひとりに寄り添ったサポートを提供しています。相続不動産でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。当社の相続不動産トラブル解決事例はこちら