2026.06.04コラム
不動産売却後のトラブルを防ぐ「契約不適合責任(旧:瑕疵担保)」とは?告知義務まとめ

「できるだけ高く、なるべく早く家を売りたい」。花小金井・田無エリアで不動産売却を考える多くの方が、まずこう思うはずです。けれど、もうひとつ忘れてはいけない視点があります。それが「売却後にトラブルを起こさない」こと。
実は、高く早く売れたとしても、引き渡しのあとに「聞いていた話と違う」と買主から指摘されれば、修理費の請求や代金の減額、最悪の場合は契約解除に発展しかねません。こうしたトラブルの大半は、売主が負う「契約不適合責任」と、その前提となる「告知義務」を正しく理解していないことが原因です。
たとえば雨漏りやシロアリ被害を知りながら伝えずに売ってしまうと、あとから多額の賠償を求められるケースもあります。逆に言えば、契約不適合責任と告知義務を正しく理解し、契約前に情報を整理しておくことで、売却後のトラブルを大きく減らせる可能性があります。この記事では、センチュリー21ネクストドアが、売主の知っておくべき契約不適合責任と告知義務のポイントを、できるだけわかりやすくまとめました。

不動産売却でトラブルを防ぐ最大の鍵は「契約不適合責任」の理解
不動産売却で後悔しないために、まず押さえるべき結論からお伝えします。それは、物件の欠陥や不具合に対する売主の責任(契約不適合責任)を正しく理解し、買主へ正確に伝えること(告知義務)。これがトラブルを防ぐ最大の鍵になります。
なぜここまで言い切れるのか。理由はシンプルで、売却後のトラブルはそのほとんどが「伝えるべきことを伝えていなかった」ことから生まれるからです。建物の不具合そのものより、「知っていたのに黙っていた」という事実のほうが、後々大きな問題に発展します。
具体的に考えてみます。たとえば過去に雨漏りがあった家を、その事実を伏せたまま売却したとしましょう。引き渡し後に買主が天井のシミに気づけば、「なぜ説明しなかったのか」という話になり、修補費用の負担や損害賠償を求められるかもしれません。一方、契約前にきちんと伝えておけば、買主も納得したうえで購入を決められます。つまり、契約不適合責任と告知義務を理解しておくことは、売主自身を守る盾にもなるのです。
✓ポイント:契約不適合責任とは、引き渡した不動産が契約内容に合っていなかったときに売主が負う責任のこと。そして告知義務は、その責任を果たすための入り口にあたります。この2つはセットで考えると理解しやすく、どちらも「買主に正直であること」が出発点になっている点を覚えておくと迷いません。
なぜ告知義務が重要なのか?旧「瑕疵担保責任」からの変更点と売主のリスク
告知義務がこれほど重視されるようになった背景には、2020年の民法改正があります。ここを理解すると、なぜ売主が慎重にならざるを得ないのかが見えてきます。
民法改正で売主の責任はこう変わった
法改正により、売主が引き渡す不動産について「契約内容に適合しているか」が重視されるようになり、契約書や告知書に何を記載したかが、これまで以上に重要になりました。2020年4月1日に施行された改正民法で、従来の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へと、名称も中身も改められたのです。民法は1896年の制定から約120年ぶりの大改正で、不動産取引への影響も小さくありません。
何が変わったのか、ポイントを整理します。
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「瑕疵(かくれた欠陥)」という曖昧な基準から、「契約内容に適合しているか」という明確な基準へ
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買主が請求できる救済手段が整理・明文化された
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結果として、契約書や告知書の記載がこれまで以上に重みを持つようになった
旧制度では「隠れた瑕疵」かどうかが争点になりがちでした。改正後は、契約書や告知書に書かれた内容と実際の物件が食い違っていれば責任を問われる仕組みです。だからこそ、契約段階で何をどう伝えたかが、売却の安全性を大きく左右します。
出典:民法の一部を改正する法律(債権法改正)について|法務省
契約不適合があった場合に買主が請求できる主な権利
では、不具合を隠して売却し、あとから発覚するとどうなるのか。買主には次の4つの権利が認められています。
| 買主の権利 | 内容 |
|---|---|
| 追完請求 | 修補(修理)などで、契約どおりの状態にするよう求められる |
| 代金減額請求 | 不適合の度合いに応じて、売買代金の減額を求められる |
| 契約解除 | 一定の条件のもとで、契約そのものを白紙に戻される |
| 損害賠償請求 | 売主に落ち度があった場合、生じた損害の賠償を求められる |
ただし、これらの請求が常にすべて認められるわけではありません。たとえば代金減額請求は、原則として売主に修補などの追完を求めたうえで、それでも追完されない場合に問題となります。解除や損害賠償についても、契約内容や不適合の程度、売主の帰責性などによって判断が分かれます。
もうひとつ押さえておきたいのが、買主側の通知期間です。契約不適合責任では、買主が不適合を知った後、一定期間内に売主へ通知する必要があります。ただし、売主がその事実を知りながら告げなかった場合などは扱いが異なるため、契約書の特約や個別の事情を確認することが大切です。
ここで注意したいのが、免責特約の落とし穴。「契約不適合責任を負わない」という特約を結んでいても、売主が不具合を知りながら告知しなかった場合には、その免責が認められません。隠したことが、かえって裏目に出る構造になっています。
✓ポイント:契約不適合があると、買主は追完・減額・解除・賠償といった救済を求められます。ただし、いずれも要件があり、自動的にすべて認められるわけではありません。最大のリスクは、不具合そのものではなく「知っていて隠す」行為にあります。たとえ免責特約を入れていても、知りながら黙っていた事実が判明すれば守ってもらえません。正直に伝えることが、結局はいちばんのリスク回避につながります。
出典:民法|e-Gov法令検索

トラブルになりやすい4つの「不適合(瑕疵)」と正しい告知の方法
ここからは、実際にどんな点へ気をつければよいのか、具体的に見ていきます。トラブルのもとになる「不適合(瑕疵)」は、大きく4つのタイプに分けられます。それぞれの正体を知り、書類で正しく告知すれば、売却後の不安はぐっと減るはずです。
知っておきたい4種類の瑕疵
不動産における瑕疵は、次のように分類できます。
| 種類 | 主な例 |
|---|---|
| 物理的瑕疵 | 雨漏り、シロアリ被害、建物の傾き、給排水管の故障、土壌汚染など |
| 心理的瑕疵 | 自殺・他殺などの事件性のある死亡事案、特殊清掃を伴う孤独死など、買主の判断に重要な影響を与える可能性がある事情 |
| 環境的瑕疵 | 近隣の騒音・悪臭、日照不良、近くに反社会的勢力の事務所があるなど |
| 法律的瑕疵 | 接道義務を満たしておらず再建築が制限される土地、建ぺい率・容積率の超過、法令上の制限に適合していない建物など |
心理的瑕疵について補足すると、自然死や日常生活上の不慮の死(転倒や誤嚥など)は、国土交通省のガイドライン上、原則として告げなくてもよいとされています。ただし、買主から質問された場合や、社会的な影響が大きい場合などは告知が必要になることがあります。
物理的な欠陥はイメージしやすい一方、見落とされがちなのが心理的・環境的な瑕疵です。「これは伝えるべきか迷う」というグレーな事情こそ、後でもめる火種になります。判断に迷ったら、伝える方向で考えておくのが安全策と言えるでしょう。
出典:「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました|国土交通省
「物件状況等報告書(告知書)」と「付帯設備表」の書き方
告知の中心となるのが、次の2つの書類です。
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物件状況等報告書(告知書):雨漏りや過去の修繕履歴、近隣環境など、物件の状態を売主が申告する書類
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付帯設備表:給湯器やエアコン、照明といった設備について、有無や不具合の状況を記す書類
書き方のコツは、とにかく正直に、ありのまま記載すること。「軽微だから」「もう直したから」と省略すると、それが後の争点になりかねません。過去に不具合があったなら、「いつ、どんな症状で、どう対処したか」まで具体的に書いておくと、買主も状況を正しく理解できます。記憶が曖昧な箇所は、推測で埋めず「不明」と記すほうが安全です。
インスペクション(建物状況調査)という備え
もうひとつの有効な対策が、インスペクション(制度上は建物状況調査と呼ばれます)。既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、国の定めた基準に基づいて、既存住宅の劣化状況などを確認する調査のことです。
事前に調査しておけば、自分でも気づいていなかった不具合を把握でき、買主には客観的な資料として示せます。買主にとっては「プロが見てこの状態なら安心」という判断材料になり、購入のハードルが下がる効果も期待できるでしょう。ただし、調査で確認できる範囲には限界があり、すべての不具合が見つかることや、将来不具合が起きないことを保証するものではない点には留意が必要です。
✓ポイント:4つの瑕疵のうち、物理的なもの以外は判断が難しく、つい見過ごしがちです。だからこそ、告知書と付帯設備表では「迷ったら書く」を徹底し、可能であれば建物状況調査で客観的な裏づけを用意しておく。この二段構えが、買主の信頼と売主の安心の両方を生み出します。
正直な告知が、納得感のある安全な売却につながる
最後に、もっとも伝えたい結論をあらためてお話しします。マイナス面を含めて正直に告知することは、買主の不安を減らし、引き渡し後のトラブルを防ぐうえで重要だということ。
「欠点を伝えたら、売れなくなるのでは……」。そう不安に感じる方は少なくありません。けれど実際は逆で、情報を隠すほうがリスクは高まります。買主は、後出しの情報にこそ強い不信感を抱くものだからです。
事前にすべてを透明化しておくと、どうなるか。買主は安心して購入を判断でき、「あとから何か出てくるかも」という値引き交渉の口実も生まれにくくなります。結果として、過度な値引き交渉や契約後のクレームを避けやすくなり、売主にとっても安心して進めやすい売却につながります。隠して目先の条件を優先するより、開示して納得のうえ買ってもらうほうが、結果的に売主の負担が小さくなるケースは多いと言えます。
とはいえ、「どこまで告知すべきか」「書類にどう書けばよいか」を売主一人で見極めるのは簡単ではありません。ここで頼りになるのが、地域の事情に精通した不動産会社の存在です。告知の範囲や契約書の特約について的確なアドバイスがあれば、トラブルの芽を契約前に摘み取れます。
花小金井・田無エリアで不動産売却をお考えなら、センチュリー21ネクストドアにご相談ください。地域に根ざした視点で、契約不適合責任や告知義務まで踏まえた、安心できる売却をサポートいたします。