2026.04.22コラム
【相続した空き家】売却時の特例(3000万円控除)とは?適用要件を税理士が解説

実家を相続したものの、誰も住む予定がなく空き家のままになっている——こうしたケースでは、売却時の税負担が気になる方も多いのではないでしょうか。一定の要件を満たすと、相続した空き家の譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」を利用できる可能性があります。本記事では、制度の概要から適用要件、期限、2024年以降の変更点までを整理して解説します。花小金井・田無エリアで相続不動産の売却をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
空き家売却の税負担を大きく軽減できる特例の仕組み
相続した空き家を売却する際、一定の要件を満たせば譲渡所得(売却益)から最大3,000万円を控除できる制度です。相続財産は通常、被相続人の取得時期を引き継ぐため、長期譲渡所得に該当するケースが大半となります。長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%に復興特別所得税を加えた実質約20.315%で、この特例がフルに適用されれば大きな節税効果が期待できます。
たとえば、譲渡所得が2,500万円の場合、特例を使わなければ長期譲渡で約507.9万円の税負担が生じる計算です。しかし、この特例が適用されれば課税対象の譲渡所得がゼロになる可能性があります。なお、実際の税額は取得費・譲渡費用・所有期間などにより変動するため、個別の計算が必要です。
控除が設けられている背景
この特例が用意された最大の理由は、全国で社会問題化している「空き家の放置」を防ぐことにあります。相続人が空き家を放置せず、耐震改修を施して市場に流通させるか、解体して更地として売却することを国が後押しする目的で設計されました。そのため、単に「相続した家を売る」だけでは適用されず、制度の趣旨に沿った売却の形が求められます。
✓ ポイント:節税効果は大きいものの、「空き家問題の解消」という政策目的に沿った売却であることが大前提です。自身のケースに当てはまるか、事前の確認が欠かせません。
控除を受けるためにクリアすべき主な要件
節税効果が大きい分、適用条件は非常に厳格です。大きく「家屋の条件」「売却方法の条件」「期限の条件」に分かれ、すべてを同時に満たさなければ控除は受けられません。加えて、利用状況や売却相手、確定申告など見落としやすい要件も存在するため、事前の確認が欠かせないのが実情です。
要件①|対象となる「家屋」の条件
どんな家でも対象になるわけではなく、被相続人(亡くなった方)が住んでいた家屋について、以下の条件をクリアする必要があります。
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昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること(旧耐震基準の建物が対象)
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区分所有建物登記がされている建物(マンションなど)でないこと
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相続の直前まで、被相続人が一人で居住していたこと(同居人がいないことが条件)
なお、被相続人が亡くなる前に老人ホーム等に入所していた場合でも、一定の要件を満たせば適用が認められるケースがあります。個別の状況により判断が分かれるため、早めに専門家へ確認することが重要です。
要件②|売却方法・金額の条件
空き家の放置を防ぐという制度趣旨から、買主への引き渡し時の建物の状態や売却金額にも制限が設けられています。
| 条件項目 | 内容 |
|---|---|
| 売却金額 | 1億円以下であること |
| 家屋を残して売る場合 | 売却時に現行の耐震基準を満たすリフォームが完了していること |
| 更地にして売る場合 | 家屋を解体し、更地の状態で引き渡すこと |
売却代金1億円以下の判定は、その1回の売却だけでなく、一定の場合には他の相続人が売却した部分や分割して売却した部分の代金も合算して判定されます。いったん特例の適用を受けても、後日ほかの持分売却などを含めて合計が1億円を超えた場合は修正申告が必要になることがあるため注意が必要です。
要件③|売却期限の条件
特例にはタイムリミットがあり、いつまでも使えるわけではありません。
売却の期限は、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までと定められています。たとえば2024年4月に相続が発生した場合、2027年12月31日が期限です。この日を1日でも過ぎると、ほかの要件をすべて満たしていても特例は適用されません。
見落としやすいその他の要件
上記3つに加えて、以下の要件も同時にクリアする必要があります。
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相続から譲渡までの間、その家屋や敷地を事業用・賃貸用・居住用として使っていないこと
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親子・夫婦・生計を一にする親族など特別の関係がある人への売却は原則として対象外
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相続財産を譲渡した場合の取得費の特例など、他の特例と重複適用できないケースがある
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特例を受けるには売却後の確定申告が必要(必要書類の添付も求められる)
いずれも見落としやすい項目ですが、一つでも該当すれば控除が受けられなくなります。
✓ ポイント:主要3要件に加え、利用状況・売却相手・他の特例との関係・確定申告の要否まで確認が必要です。特に期限の見落としは事後の対処が効かないため、相続発生段階でスケジュールを把握しておくことが大切です。
参考: No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
令和5年度税制改正で拡充されたポイント(令和6年1月1日以後の譲渡から適用)
この特例は令和5年度税制改正で拡充・延長され、令和6年1月1日以後の譲渡から新ルールが適用されています。売却を検討中の方にとって影響が大きい変更が2点あります。
買主側での解体・耐震改修が適用対象に
従来は、売主(相続人)自身が建物を解体するか耐震改修を行ったうえで引き渡す必要がありました。しかし改正後は、譲渡時点で耐震基準を満たしていなくても、買主が翌年2月15日までに耐震改修または取壊しを完了し、かつ他の要件も満たす場合には特例の対象となります。
この変更により、売主が多額の解体費用を先行負担する必要がなくなり、売却のハードルが大幅に下がりました。
相続人3人以上で控除額が縮小
もう一つの大きな変更点は、控除限度額の引き下げです。従来は相続人の数に関わらず1人あたり最大3,000万円の控除を受けられましたが、令和6年1月1日以後の譲渡では、相続人が3人以上の場合に限り控除限度額が1人あたり2,000万円に縮小されました。
| 相続人の数 | 改正前の控除限度額 | 改正後の控除限度額 |
|---|---|---|
| 1〜2人 | 3,000万円/人 | 3,000万円/人(変更なし) |
| 3人以上 | 3,000万円/人 | 2,000万円/人 |
遺産分割の方法によっては控除額が変わる可能性があるため、分割協議の段階から専門家と相談し、最適な方針を検討しておくことが望ましいと言えます。
✓ ポイント:改正は「売主の負担軽減」と「複数相続人への控除縮小」という二面性があります。相続人が3人以上いるケースでは遺産分割の進め方が節税額に直結するため、早めの専門家への相談が重要です。
参考: 空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)|国土交通省
適用可否の判断は複雑——手遅れになる前に事前確認を

3,000万円特別控除は有効な制度ですが、適用可否は建物の状態、利用状況、売却相手、期限、必要書類など複数の条件で決まります。「要件を満たしていると思い込んで売却したが、実は同居とみなされる親族がいて適用外だった」「期限をわずかに過ぎてしまった」など、事後には取り返しがつかないケースも少なくありません。
売買契約や解体の手配を進める前に、この特例の対象になるかどうかを税理士や不動産実務に詳しい専門家へ確認することが最も重要です。あわせて、売却後の確定申告まで見据えて準備を進めると安心です。
花小金井・田無エリアで相続した不動産の売却をご検討中の方は、センチュリー21ネクストドアまでお気軽にご相談ください。地域に根ざした売却サポートと、税務面のアドバイスを含めた総合的なご提案で、最適な売却プランを一緒に考えてまいります。