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相続コラム・解決事例

2025.05.08コラム

不動産を兄弟で相続した場合の注意点とトラブル回避の方法

不動産を兄弟で相続した場合の注意点とトラブル回避の方法

親が亡くなった際、不動産を含む遺産を兄弟で相続することになると、様々な問題やトラブルが発生しやすくなります。特に不動産は現金と違って簡単に分割できないため、相続人間で意見が対立しやすい財産です。花小金井・田無エリアにおいても、不動産相続に関するご相談が多く寄せられています。センチュリー21ネクストドアでは、スムーズな不動産相続をサポートするために、この記事で兄弟間の不動産相続における注意点とトラブル回避の方法をご紹介します。

はじめに:兄弟間の不動産相続が難しい理由

不動産相続の難しさとトラブルになりやすい背景

相続において最も大きなトラブルが発生するのが不動産の相続です。現金や預貯金は金額に応じて比較的簡単に分割できますが、不動産は一つの資産であるため、相続人全員で均等に分けることが物理的に難しいのが現実です。

さらに、不動産は多くの場合、感情的な価値も持っています。先祖代々受け継がれてきた土地や、自分が育った実家には金銭的価値以上の思い入れがあるため、単純に経済的価値だけで判断できないことがトラブルの原因になります。

また、兄弟姉妹であっても、それぞれが独立して生活していると、互いの状況が分からなくなり、相続に対する考え方や価値観の違いからトラブルに発展することもあります。

公平な分割が難しい理由
  • 物理的に分割できない:土地や建物は物理的に分けることが難しく、分割すると価値が大きく下がることがあります。
  • 評価額の判断が難しい:不動産の価値をどのように評価するか(市場価格、相続税評価額、固定資産税評価額)で意見が分かれやすいです。
  • 感情的な要素:実家や親が大切にしていた土地には感情的な価値があり、経済的価値だけでは判断できません。
  • 利用状況の違い:すでに兄弟の誰かが住んでいる場合や、事業に使用している場合は、その人にとっての価値が他の相続人よりも大きくなります。

兄弟間の不動産相続では、公平さの感覚は人それぞれ異なるということを理解し、話し合いを進めることが大切です。

 

兄弟で不動産を相続すると起きやすいトラブル事例

不動産相続において兄弟間でトラブルになりやすいケースをいくつか見てみましょう。

土地以外の財産が少ない場合

親の遺産が自宅とわずかな預貯金だけの場合、不動産を売却して現金化するしか分割方法がない状況になります。しかし、兄弟の誰かがその不動産に住んでいる場合、住む場所を失うことになるため、強い抵抗を示すことがあります。

このような場合は、住んでいる兄弟が不動産を相続し、他の兄弟に代償金を支払うという方法も考えられますが、代償金の支払い能力がない場合にはトラブルに発展しやすくなります。

遺言書がない場合

遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、全員の合意を得なければ分割方法が決まりません。特に兄弟間の関係が良好でない場合や、不動産の価値に対する認識が異なる場合は、協議がまとまらずに長期化することがあります。

遺留分を侵害された相続人がいる場合

遺言書があっても、相続人の遺留分(法律で保障されている最低限の相続分)を侵害するような内容だと、不満を持った相続人が遺留分侵害額請求をすることでトラブルに発展する可能性があります。

例えば、親が「長男に全ての不動産を相続させる」と遺言で指定した場合、他の子どもたちは遺留分を請求できますが、その請求額をめぐって争いになることがあります。

土地の代償金の基準が食い違う場合

不動産を一人の相続人が相続し、他の相続人に代償金を支払う代償分割を行う場合、その代償金の算定基準で意見が分かれることがあります。

不動産の評価方法には、実際の取引価格(時価)、公示地価、相続税評価額(路線価)、固定資産税評価額など複数あります。不動産を相続する人は相続税評価額などの低い評価額で代償金を算出したいと考え、代償金を受け取る側は時価などの高い評価額を基準にしたいと考えるため、対立が生じやすくなります。

親の介護負担が平等ではなかった場合

兄弟の中で特定の人が親の介護を長年担当していた場合、その貢献度(寄与分)をどう評価するかでも意見が分かれることがあります。介護した人は「不動産を相続する権利がある」と主張し、他の相続人は「それは義務であり、特別な相続分は認められない」と反論するケースがあります。

不動産相続で兄弟間のトラブルを防ぐためには、これらのよくあるトラブルのパターンを理解した上で、事前の対策や冷静な話し合いが必要です。

 

不動産相続で共有を選ぶとトラブルになる理由

兄弟間で不動産を分割できない場合、不動産を共有するという選択肢がありますが、これには多くの問題点があります。

売却などで共有者全員の同意が必要

共有不動産を売却したり、大規模な改修を行ったりする場合は、共有者全員の同意が必要です。一人でも反対すれば実行できないため、将来的に不動産の活用や処分が困難になる可能性があります。

固定資産税は個別に払えない

共有不動産の固定資産税は、代表者がまとめて納税することになっています。各共有者が個別に納税することはできないため、支払いの負担や管理をめぐってトラブルが発生しやすくなります。

代替わりにつれて共有者が増え続ける

最初は兄弟数人での共有でも、世代が変わるにつれて相続人は次々と増えていきます。共有者が増えるほど合意形成は難しくなり、将来的には数十人の共有状態になって、不動産の管理や処分が事実上不可能になる「所有者不明土地」問題に発展することもあります。

土地の共有はおすすめできない

これらの理由から、不動産の共有は長期的には大きな問題を引き起こす可能性が高いため、できるだけ避けるべき選択肢と言えます。どうしても共有にせざるを得ない場合でも、将来的な売却や分割についての取り決めを書面で残しておくことが重要です。

 

兄弟で相続した不動産を分ける4つの方法

不動産を兄弟で相続する場合、主に以下の4つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解して、最適な方法を選びましょう。

換価分割(不動産を売却して分割)

換価分割とは、不動産を売却して現金化し、その売却代金を相続人間で分配する方法です。

メリット:

  • 相続人間で公平に分配できる
  • 現金化するため使い道が自由
  • 相続人間の対立が少なくなる可能性がある

デメリット:

  • 不動産に住んでいる人は住居を失う
  • 売却に時間がかかる場合がある
  • 希望価格で売れない可能性がある
  • 売却益に所得税がかかることがある

換価分割を円滑に進めるためには、売却の最低価格や売却期限、仲介業者の選定など、あらかじめ相続人間で合意しておくことが重要です。

代償分割(特定の相続人が現物を相続し、代償金を支払う)

代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得し、他の相続人に対して金銭(代償金)を支払う方法です。

メリット:

  • 不動産に住んでいる人がそのまま居住できる
  • 不動産を活用している人が継続して利用できる
  • 不動産の分割や売却をしなくて済む

デメリット:

  • 代償金の支払い能力が必要
  • 代償金の算定基準で意見が分かれやすい
  • 代償金の支払い時期や方法で揉めることがある

代償分割を成功させるポイントは、代償金の算定基準を明確にすることです。相続税評価額、固定資産税評価額、時価のどれを基準にするのか、事前に協議して決めておく必要があります。

現物分割(土地を分筆して分割)

現物分割とは、土地を分筆(登記上一つの土地を複数に分けること)して各相続人が取得する方法です。

メリット:

  • 各相続人が実際に土地を相続できる
  • 換金せずに資産として保有できる
  • それぞれが自由に活用できる

デメリット:

  • 分筆によって各区画の価値が異なることがある
  • 接道条件や土地の形状によっては公平な分割が難しい
  • 分筆費用や測量費用がかかる
  • 狭小地になると利用価値が下がる

現物分割を行う際には、各区画が建築基準法の接道義務(2m以上の道路に接していること)を満たすように分筆する必要があります。また、境界確定測量を行い、隣接地との境界を明確にしておくことも重要です。

相続放棄という選択肢

相続放棄とは、相続人が相続権を放棄する選択肢です。遺産を相続したくない場合や、特定の相続人に集中して相続させたい場合に検討されます。

  • 一部の兄弟が相続放棄した場合: 相続放棄した人の分は他の相続人に分配されます。相続放棄した人の子が代わりに相続することはありません。
  • 兄弟全員が相続放棄した場合: 親の親族(被相続人の父母など)が次の相続人になります。相続人が誰もいなくなった場合は、最終的に国庫に帰属します。

相続放棄は被相続人の死亡を知ってから3か月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、一度相続放棄すると撤回できない点に注意が必要です。

 

兄弟間の不動産相続トラブルを防ぐための対策

兄弟間の不動産相続トラブルを回避するには、事前の準備が重要です。

遺言書の作成

遺言書は被相続人の意思を明確に示すもので、相続トラブルを防ぐ効果的な方法です。

  • 遺留分への配慮: 遺言書を作成する際は、相続人の遺留分に配慮することが重要です。遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律で保障されている最低限の相続分のことで、子どもの場合は法定相続分の2分の1です。遺留分を侵害すると、後でトラブルになる可能性があります。
  • 付言事項の活用: 遺言書には「なぜそのような分け方をしたのか」という理由を付言事項として記載することができます。例えば「長男が長年介護してくれたから」などの理由を明記することで、他の相続人の理解を得やすくなります。
生前の対策
  • 生前に土地を換金しておく: 相続で揉めそうな不動産があれば、被相続人が生前に売却して現金化しておく方法もあります。ただし、相続税の節税効果が減少する可能性があるため、メリット・デメリットを考慮して検討すべきです。
  • 代償金を準備しておく: 特定の相続人に不動産を相続させることが決まっている場合、その相続人が代償金を支払えるように、被相続人が生命保険に加入するなどの対策を取っておくと良いでしょう。生命保険の死亡保険金は受取人の固有財産となり、相続財産にならないため、代償金の資金として活用できます。
専門家への相談

不動産相続のトラブルを回避するためには、早い段階で専門家に相談することも重要です。センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアに特化した不動産相続のサポートを行っており、相続前の段階から相談に応じています。必要に応じて弁護士や税理士などの専門家と連携し、総合的なアドバイスを提供しています。

 

不動産相続における相続税の注意点と節税対策

不動産相続には税金面での注意点もあります。

相続税の申告・納税期限

相続税の申告・納税は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。期限を過ぎると延滞税がかかるため注意が必要です。

相続手続きが間に合わない場合でも、いったん法定相続分で申告し、後日遺産分割が確定したら更正の請求または修正申告を行うことができます。

小規模宅地等の特例

被相続人と同居していた親族が居住用の土地を相続する場合、「小規模宅地等の特例」により相続税評価額を最大80%減額できます。この特例は、自宅の土地は330㎡まで、事業用や賃貸用の土地も一定面積まで減額の対象となります。

特例の適用には様々な条件があるため、適用可能かどうか事前に確認することが重要です。

現金と土地の相続、どちらが得か

同じ価値の財産を相続する場合、一般的には土地の方が相続税は低くなります。これは、土地の相続税評価額が実際の市場価格より低く評価されるためです。土地の相続税評価額は、おおむね時価の7割程度になることが多いです。

例えば、1億円の現金と1億円相当の土地では、土地の方が相続税は少なくなる傾向があります。ただし、土地の相続は前述のようにトラブルになりやすいため、相続税の節税効果とトラブルリスクのバランスを考慮する必要があります。

 

まとめ

不動産を兄弟で相続する場合、様々なトラブルが発生する可能性があります。物理的に分割しにくい不動産の特性上、相続人間の意見の相違からトラブルに発展しやすいのが現実です。

トラブルを回避するためには、以下のポイントが重要です:

  1. 共有は避ける:不動産の共有は将来的に大きな問題を引き起こす可能性が高いため、可能な限り避けるべきです。
  2. 適切な分割方法を選ぶ:換価分割、代償分割、現物分割のそれぞれのメリット・デメリットを理解し、相続人の状況に合った方法を選びましょう。
  3. 生前対策を行う:遺言書の作成や、生前の財産整理などの対策を行っておくことで、相続トラブルを未然に防ぐことができます。
  4. 専門家に相談する:不動産相続の問題は複雑なため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

センチュリー21ネクストドアでは、花小金井・田無エリアの不動産相続についてのご相談を承っています。相続前の段階から適切なアドバイスを提供し、スムーズな不動産相続をサポートいたします。不動産相続でお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。